健康保険組合自由化に向けて

著者:告訴・告発人

公開:2026年7月11日,7月15日,7月16日

最終更新:2026年7月25日

要約

国民皆保険制健康保険組合は近衛文麿時代の総力戦体制準備のための全体主義残滓であり,本来,各地域,職域の自主性による健康保険組合の成立と統治が望ましい.尤も,ある程度の専門性,特殊知識があることが必要である領域であるため,わからないのならば,よく知り,行動を十分予測することができ,信頼できる人物に一任することも考慮に値する判断である.

緒言

あたかも何か良いことであるかのように喧伝されてきた「国民皆保険」であるが,その中央集権的制度設計は,画一的な診療報酬設定による資源分配の不公正,不完全注意による杜撰な意思決定による投資失敗,「医療の専門家」を名乗る不勉強な素人による専横,悪意ある詐取人らの利得獲得の温床となってきた.

1.日本の健康医療保険制度のあけぼの

日本の健康保険組合は総力戦のための国家社会主義体制構築の一環として整備が開始された.1935年,そのための調査の過程で,村の成員らが米を出し合って医者を雇う「定礼」制度が江戸時代以来あったことが発見され,報告されている.これらの制度は,本来の健康保険組合の有り様を示唆していると考えられる.

島崎謙治2020, pp.48-49.

2.職場内労働者における分業の限界

リカードの比較優位論の限界の実例:不自由な人員配置と平等主義報償

Google Gemini(PDF版で公開)によれば,職場の全てのタスクを「他の凡人が最も得意なタスクを行う所要時間で」こなしてしまうスター労働者が出現した場合,リカードの比較優位論で主張されるような分業は成り立たず,スター労働者が一人勝ちするか追放されるか,の帰結を招くということである.Google Geminiは「ホーソン工場の実験」と「ソ連のスタフノフ運動」の2つの歴史的事実を実例として紹介した.

結論

職場内部では「どんぐりの背比べ」にしておいた方が分業が成り立ち,全体として資源の最適分配に近づく.ただし,その場合のその職場のパフォーマンスは「それなり」である.

3. 日本のサービス供給者の独占的地位

日本の医学部教育制度

日本では,国家政策による制度的助長によって,医療サービス供給者の養成を一部の勢力が独占的に占有している.その勢力の中には,日本医療の全体に平等主義が蔓延し,既存の業界内秩序の変更をもたらす各主体の功績や過失・悪行の公示へ強固に抵抗を示す日本医療の業界慣行を奇貨として,サービス供給者(医学の行い手や医学生)の評価を恣に操縦し,市場による評価を許すことすらなく,サービス需要者へ自らの示した名目上の評価を受け入れることを押し付け,サービス価値の名目上および実質の差分によって不当利益を享受する不法行為を確立した戦略として採用している者がいるのが現状である.

士気の崩壊

実際のサービス価値評価を考慮することがほとんどない盲目的な報酬付与が常態化によって,無知な権力者によって高く評価される「キモ」の業績指標以外は軽んじられ,無視されるようになることは広く見られる宿痾である.著者の経験上,日本の医学部では生物学的製剤,ロボット手術,「神の手」の手術,査読付き雑誌,4択クイズ,医学教育の予備校,稼ぎの良いパートタイムジョブ,学生団体,経営者のマネーゲームは異様に価値を置かれる一方,従業者らの間で脚下照顧の美風は失われており,読んで意味が理解できる文章を書くこと,病棟の掃除,合理的な意思決定,医療行為の科学における位置付けを正しく理解すること,学術的に適正な治療選択等は無価値なものとして軽んじられていた.

結論

医療サービスの主要な買い手である健康保険組合は,独占的供給組織による限定的で特殊な偏りを持った医療サービス供給の押し付けを甘受する消極的態度から脱却し,医療サービスの需要と供給の適正なマッチングを実現するため,健康保険組合自体の制度的設計,医学部教育の設計(教員の選定や教育内容の決定を含む)等への関与を許す自由化を求めるべきである.

結語

現行制度では,組合員およびその扶養家族は,独占的供給によってサービスの受容を強制されており,市場の自然選択のプロセスが阻害され,質の悪いサービス供給者が温存されている.そのため,顧客の個人的意見としては,「2. 職場内労働者における分業の限界」で論じたようなスター労働者が犠牲を被りつつ職場のパフォーマンスを担うことが「まだマシ」となることが自然である.一方で,スター労働者としては可及的速やかに職場から退出することが最善の策となる.よって,特殊な思想的偏向がなく,職場に留まることを望まない場合には,能力の高い労働者から職場から退出して,供給されるサービスの質が悪化の一途をたどることになっている.

参考文献

  1. 島崎謙治『日本の医療 制度と政策 増補改訂版』,東京大学出版会,2020.
  2. 吉原健二,和田勝『日本医療保険制度史(第3版)』, 東洋経済新報社, 2020.
  3. 青柳精一『近代医療のあけぼの 幕末・明治の医事制度』, 思文閣出版, 2011.
  4. 杉田米行『国際関係の変動と日本医療保険制度史』, 国際書院, 2022.
  5. 福澤直樹『ドイツ社会保険史 社会国家の形成と展開』, 名古屋大学出版会, 2012.
  6. 松島静雄 著『企業経営の近代化とリーダーシップ』,通信教育振興会,1964.3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/3453794 (参照 2026-07-15)
  7. author , author_name, "title", journal, year.